石英 (オニックス、サード、ブラッドストーン、ジャスパー)

石英 (オニックス、サード、ブラッドストーン、ジャスパー)
硬度   7
結晶系  六方晶系、三方晶形
化学組成 SiO₂
色    様々
晶癖   柱状
光沢   ガラス光沢、脂肪光沢、樹脂光沢
条痕   無色~白
劈開   なし
断口   貝殻状
比重   2.7
透明度  半透明~不透明
屈折率  1.54~1.55

オニックスは白と黒の縞模様のあるカルセドニーである。産出は比較的希で淡い縞状の模様を持つメノウに着色されたものもある。鉱物名の由来は爪を意味するギリシャ語の「onux」
からきた。ローマ人は繊維石膏や玉髄、縞状のマーブルなど様々な岩石に対して用いていた。現在オニックスという言葉は玉髄に対して用いることが正しい白と赤の縞模様を持つものをカーネリアンオニックス、白と茶の縞模様を持つものをサードニクスという。オニックスは岩石中の割れ目に浸透した比較的温度が低くシリカに富んだ水から沈殿したものである。天然のオニックスは主にインドや南アフリカで採掘される。
 サードは淡褐色~濃褐色で半透明の玉髄である。鉱物名の由来は古代リディアの首都の名前を指すギリシャ語のsardisである。中世まではサードとカーネリアンはともにサーディオンと呼ばれていた。サードと白い玉髄が交互に重なって縞状構造を示すものをサードニクスという。サードは岩盤の割れ目に沿ってしみ込んだ比較的温度が低くシリカに富んだ水から沈殿した。主要な産地はスリランカやインド、ブラジル、ウルグアイがあげられる。サードはインダス文明やミューケナイ文明、アッシリア文明でも利用されていた。
 ブラッドストーンは濃緑色の玉髄に鮮やかな赤いジャスパーの斑点を持ったものを指す。ヘリオトロープとも呼ばれる。緑色の原因は少量含まれている鉄の珪酸塩鉱物によるものである。ヘリオトロープという名称はギリシャ語で太陽を意味するhelioと旋回を意味するtrepeinをつなげたものである。研磨する・しないにかかわらずこの赤い斑点模様ははっきりと見せる。インドやブラジル、オーストラリアが主要な産地である。玉髄と同様、岩盤の割れ目に浸透した比較的温度が低くシリカに富んだ水溶液から沈殿してできている。
 ジャスパーは細粒で不透明な玉髄の一種でチャートに近い。名称の由来はギリシャ語のiaspisから来た。様々な副成分を包有するため着色した不透明のものになる。レンガのような赤や赤褐色のジャスパーは赤鉄鉱を含む。粘土鉱物が含まれると黄白色か~灰色に、また針鉄鉱が含まれると褐色~黄色になる。ジャスパーは岩盤の割れ目に沿ってしみ込んだ比較的温度が低くシリカに富んだ水から沈殿してできた。玉髄が産出するところであれば基本的にどこでもジャスパーも産出する。ジャスパー化した珪化木がアリゾナ州から産出する。

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